『寒い…』


凍えた声で旅人は呟く

季節は春になりかけていたが、まだ口から空気を吐く度に白い息が漏れる


『だからさっきの町でコートを買うべきだったんだよ』


旅人の後をついて来ていた旧型で小型のロボットが言う


『あぁ、僕が一番後悔してる』


旅人はそう言うとロボットの方をチラッと見た


『ふぅ…、寒さを感じないのが羨ましいよ』

『また嫌味な事を』


ロボットは言う


春になりかけていたが雪が降る森は創造以上に寒い


『無理に先に進まなくても良かったんじゃない?前の町は居心地良かったし』


ロボットは言う


『仕方ないよ…、もう少しで養子にされるとこだったし』


旅人は少し口を尖らせた


『そんな事よりあと、どれくらいで次の町につく?』


『あと20キロぐらいかな…』


旅人は落胆した様子を悟られないように平然と歩いて行く


『あっ、数百メートル行ったとこに小屋があるよ』


『廃屋?』


旅人は瞬時に質問した

『人間性の熱反応が二体あるから廃屋じゃないかもね』


『そこ行くよ』


旅人は瞬時に答えた