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私と木村が出会ったのは中3の夏。
一応、私もバスケ部員で部長をやっていたんだ。

だけど県大会1回戦目に全国でも有名な学校に
当たって、46-19とボロ負けしちゃったんだ。


「ぅう・・・・・・」

みんな悔しくて泣いていた。
私も泣きたくてしょうがなかった。

けど、皆の前で泣き顔は見せたくなかったから私は泣かなかった。下唇を噛んで我慢した。結構、中学時代は私は強かった。


「おーい。見てたぞ、女子負けたろ?」

男子バスケ部が集団で私たちに聞いてきた。

「…あ、うん……」

私はそっけない返事を返した。
すると男子は曇らせた顔でこう言ってきた。


「まったくさ~応援してやったのに、もっと真面目にやれよな」

そんな事を言われて私も反抗を始めた。
頑張ったのにこんな事、言われるのは悔しかったから。

私たちの努力を水風船みたいに壊す言い方をされたから。


「私たち、真面目にやったよ。いつまでもそんなこと言うのは辞めてよ」

「お前らの真面目は違うだろ。だいたい、そんなことを言う事からダメなんだよな~」

と言ってほとんどの男子は大きな溜息を吐いた。


その言葉に私の頭の線が切れた気がした。
そして私のイライラ度は最高になった。


パシンッ―…

鈍い音が体育館に響いた。

そう、私は男子を叩いた。

自分の事ならまだしも、みんなのことを馬鹿にする言い方をされたから。
そんな男子に無性に腹が立ったんだ。


パシッ―

「!?」

叩いた私の手は瞬間的に誰かに掴まれた。

「俺は言っていないから」

温かい言葉が上から降ってきた。

その人が私が好きになった、木村巧だった。

でもそれは木村を気に始めた頃の話…