「何言ってるの!?こいつ、彼氏なんかじゃないからね!?」

バスケ馬鹿を指差しながら私は二人に怒鳴った。

すると二人の目は球のように丸くなった。
咲子は持っていた携帯を床に落として、ミユウは放心状態になっていた。


「―…ふぅ…お前らバカか。こんな奴、女じゃねぇよ」

隣で低い声を出しながらバスケ馬鹿が呟いた。


……はい?

今、私の事、「女じゃねぇよ」て言った?


「は…?私、女なんですけど」

がんつきながらバスケ馬鹿に顔を近づける。
するとバスケ馬鹿はフッと余裕を持って笑った。


「俺は…お前みたいなオ○ベを女だとは思わねぇ。もう、男なんじゃねーかぁ?お前」

その言葉が発しられた瞬間、
私の頭の中の何かがブチッと切れた音がした。

そして私のイライラ度は最高潮となる。


「はぁ!?何、オ○ベって!私、普通に女だし!」

さっきより荒れた声でバスケ馬鹿を怒鳴り続ける。

「えー?そうだっけ?」

「あ゛?ふっざけんなぁ!!!」

それから数分間、私たちの口喧嘩が続く。


すると傍にいたミユウが静かに口を開いた。


「―…あのぉ…二人の世界に入らないでくれる?」

遠慮がちにミユウが私とバスケ馬鹿の話を中断した。




私とバスケ馬鹿は絶対一日一回は喧嘩する。

周りからは彼氏とか仲がいいとか言われるけど


やっぱり

バスケ馬鹿は私の気持ちなんて知らないだろな。


話している事が私にとってこんなに嬉しい事も。


――…私があんたをスキだって事も。