幼稚園の年長組の時にあった相撲大会で負けた時も、小学校の運動会でリレーのアンカーで走って転けて、惨めに惨敗した時も、中学校の時に成績オール1を取った時も、高校を中退した時も怒ってもくれず、お決まりの台詞を繰り返すだけだった。

『俺の事なんか、どうでもええんかい』

いつも同じ思いを繰り返して、俺と父ちゃんの溝は深まっていくばかりだった。

それが災いしてか、俺は中学生から高校生にかけて荒れ狂った。まず中学一年で煙草を覚え、酒を飲みだした。二年生でギャングチームに入り、三年生の時に親父譲りのガタイの良さと、喧嘩の強さを見初められて頭になった。そして今、高校を一年で辞めて働きだした。だけど悪事からは手をひけず、極道入りは確実と言われるまでになってしまった。それに連なる様にして、利芳も横路に反れだした。

『兄ちゃん、煙草ちょうだい』

金色の痛みきった髪の毛が、利芳は父ちゃん似だと言うのを物語っている。

『勝手に吸えや。』

最近は、利芳とも余り会話しなくなった。話す事がないのも理由の一つだし、利芳が非行に走りだした事自体、気に入らなかったからだ。

『父ちゃんと一緒の顔しやがってからに』

俺は煙草に火を点け