「おっきくなったなぁ」
そう言って、駆け寄ってきた私の頭を撫でる。
頭を撫でるのはさくちゃんの癖だ。
そんなさくちゃんの癖が私は好きだったりする。
「前に会ったときからもう4年はたつからね」
確か中学生になってからは来ていないはずだ。
横浜に住む父方の祖父母の家にはちょくちょく遊びに行く。
もっとも、私はあまり歓迎されないのだけれど。
しかし、母方の祖父母の家にはめったに来ない。
最後に来たときは確か、じーちゃん達と一緒に住んでいたひぃばーちゃんが死んで、葬式をしたときだ。
「そうかもなぁ。だってお前全然こねぇんだもん」
そう言ってさくちゃんは笑った。
ちょっとだけ寂しそうな顔をして。
「いろいろ忙しかったからね。本当は来たかったんだよ」
そう言って笑い返す。
「本当かよー」
そう言うとさくちゃんは太陽みたいな笑顔を返してくれた。
私はこの笑顔が好きだ。
なんだか心から安心できる。


