それからしばらくすると、目的の駅に着いた。
そこからまた電車を乗り換えてじーちゃんの家がある駅まで行く。
ここからはもう20分くらいだ。
やっと着いた目的地。
じーちゃんの田舎がある駅は無人駅だった。
ホームに降りるとわずかに潮の香りがする。
懐かしい。
前に来たときはいつだっただろうか。
「満月」
突然名前を呼ばれて振り返ると、そこには愛しい顔。
「さくちゃん」
私は嬉しくて駆け寄る。
前田朔
私の一つ上でじーちゃんとばーちゃんと一緒に暮らしている。
いとことかそういうのではなく、12年前にじーちゃんが施設から引き取ってきたのだ。


