「私の事知ってるの?光栄だわ、よろしくね」

深々とお辞儀すると、重たそうなトランクを抱えて裏口から入ろうとした。
僕は慌ててドアを開ける。

「あら、ありがとう。あなたはこのお店の人?」

「あ、バイトしてるんだ。今日はイベントの手伝いだからよろしく。随分重たそうなトランクだね」

「あ、そうなんだー。よろしくね。これは三味線入ってるのよ」

「へえ、三味線て?そんなに小さいのに?」

「そうよ。三味線は三つに分解出来るの知らないでしょ?後で見せてあげる」

そう言うと冬椿は、僕と一緒に事務所に入った。