-片翼だけの天使-

冬椿は、さっさとドアを開けると外へ出た。
僕は慌てて、あとから出て行く。

「待って僕も終りだから、そこまで一緒に行きます」

冬椿は不機嫌そうだった。

「どうしたの?疲れた?」

僕が聞くと、冬椿は僕のほうを向いてにっこり笑った。

「まさか、あのくらいじゃ疲れないわよ。」

「そうかよかった。また、イベントがあれば会えるよね。」

僕が言うと、冬椿はため息をついた。

 「あなたは知らないでしょうけど、こういうイベントで、また同じ子呼んでもお客は喜ばないわ。」

「そんな事ないさ。だってさっき店長も、またお願いするって。」

僕は、何だかムキになってそう言った。
冬椿は、吹き出して笑った。

「馬鹿ね、あれは社交辞令よ。でも、私の事でそんなに一生懸命になってくれてありがとう。あなた良い人ね。」

冬椿はまだ笑っていた。僕は、ちょっと恥ずかしくなった。