-片翼だけの天使-

そんなこんなで、午後のイベントも無事終わった。
僕はやっぱりしどろもどろだったが、午前中よりは少しは良いかなと思った。
冬椿は帰り支度をしていた。

「お疲れ様でした。」

「あ、お疲れ様。初めてにしては良かったわよ。私の専属でやって欲しいくらいよ。笑。」

「あはは、褒められて悪い気はしないけどね、ありがとう。でも、超ー疲れた。笑。」

その時店長が入って来た。

「いやあー良かった良かった。又次のイベントもお願いしますよ。」

そう言うと笑いながら、冬椿の手を取った。
それから僕のほうを向くと、言った。

「君もなかなか良かったよ。今日はもう帰って良いよ。」

そう言うと店長は出て行った。
冬椿はため息をつくと三味線を抱えて立ち上がった。