店長は何でも食べて良いよといったけど、スーパーの店内のお店じゃ、だいたいが安いファミリーむけのものだった。
僕は一通り案内すると、何でも良いわとまた冬椿は言った。

「じゃ、取りあえず目の前の店に入ろう。」

僕が言うとにっこり頷いた。
僕と彼女は向かい合わせで座った。

「お疲れ様。始めての司会にしては、良い出来だったわ。」

「うん、ありがとう。ほんと言うと緊張してたから超疲れたし。」

ぶっきらぼうにそう言うと、僕はメニューを渡した。

「じゃあ、今日のランチね。」


「随分決めるの早いね、じゃあ僕も。」


結局2人とも、同じものを頼んだ。

「私ね、時間がなかったり不規則だったりするから好き嫌いないの。要するに何でも良いのよ。」

そう言うと冬椿は笑った。僕はその吸い込まれそうな大きな瞳に、またドキドキして思わず目をそらした。