待ち合わせ5分前、隼人がやってきた。

「待たせてごめん。」

「ううん、さっき来たとこ。」



差し出された左手に右手をからめると、ぎゅっと握って笑顔をくれた。

嬉しくなって握り返すと、急に隼人が立ち止まった。

どうしたのかと思って隼人に目を向けると、手を握り締めたまま、おでことおでこをくっつけてきた。

隼人の顔が近い・・・。


「誕生日おめでとう」


そう優しくつぶやくと、幸せなキスをくれた。

隼人がくれた、はじめての公衆の面前でのキス。

少し顔が離れると、隼人は恥ずかしそうに笑い「びっくりした?」なんて聞いてくる。

赤くなった顔を左手で触りながら頷くと、隼人の顔はいたずらっこのように笑っていた。