「デートしたって聞いて、本当は辛かった。

でも、嫌われたくないから嫌だなんて言えなかった。

いっそのこと隼人くんのことを嫌いになってしまえば、苦しまなくて楽になれるかもしれない。

でも、私は隼人くんが好き。

隼人くんのことを信じたい。」



すこし驚いていた隼人くんは、ふっと優しい表情になった。



「俺が小さい時、母親が浮気して出て行ったんだ。

あの女見てたから『女』は裏切るもんだって思ってた。

だからいろんな女と遊んだりしてた。

でも、朝七海から来たメールですごい罪悪感感じた。

きっと辛い思いさせたんだろうなって。

だから俺からも今日謝るつもりだった。

本当ごめん。今までも、全部。」



話の途中でつながれた右手を、隼人くんはきつく握り締める。

思わず、私も手に力が入ってしまう。