懐かしい家の前、大きく深呼吸。

インターホンを押すと、隼人の声が聞こえてきた。

それは、付き合っていた頃とまったく変わっていなくて。

あの頃に戻ったように錯覚してしまう。




一緒に部屋に行くと、隼人の部屋は少しだけ模様替えされていてなんだか不思議な気持ちになった。

入り口で思わず立ちすくんでいると

「七海の指定席はそこだろ?」

と、隼人がソファーを指差して笑った。



促されるまま座る、ソファーの左側。

私の指定席。


『七海の指定席』そんな隼人の言葉が嬉しかった。