私が考えていたことに気付いたのか「隼人くん今、南館入っていったよ。」と里菜が言う。

私はうなずくと、教室を走って出た。




「は、隼人!!」

懐かしい背中を見つけて声をかけると、隼人はビックリしたように振り返った。

「七海?あれ?どうしてこっちに?」

「隼人が、見えたから・・・。」

久しぶりに走ったから、息がまだ整わない。

隼人にこうやって会うのなんて、別れた以来なのになんだか格好悪いな。


「そっか。」

口元を緩めて笑う、隼人の顔に思わず泣きそうになる。

「隼人は進路、どうするの?」

「ん?就職決まったよ。

親父に負担かけたくないしな。」



成績がいい隼人。

なんだかもったいない気もしたけど、隼人らしいと思った。