夢(ほし)職人ムムとワガママな絵本

低くてかすれた声でした。


「工房(アトリエ)の掃除をしている時に見つけました」


「そうか、けどその絵本は私が持つ権利はない。悪いが捨ててくれないか?」



そう言って、瞳をふせました。



「なんだよ、ご主人! ヒデェーじゃんか俺、ずっと待ってたんだよ、あんたが続き書いてくれるの」



絵本は声をふるわせて言いました。



もし絵本に表情があればきっと彼は今、泣いているのでしょう。