突然、ジャックがムムのそでクイクイと引っ張ります。 ムムは顔を上げました。 ジャックは路地裏の奥を指さしました。 陽の差さない路地裏の奥に、冷たいカベに寄りかかり膝を抱えている人の浮浪者。薄汚れたローブに裸足。 服も足もボロボロです。 その姿は、まるで男性の心のキズを表しているようでした。 「あ……」 ムムは声を上げました。 そうです、夢に出てきた浮浪者です。 「おじさん、モスコミュールさんですよね?」