「おい! なんだよ、ムム。どこに行く気だよ?」 「君のご主人、ロベルト・モスコミュールの所だよ」 ムムは、石畳の上を駆け出します。 「なっ、お前。ご主人がどこにいるのか知ってるのか?」 「ううん、知らない。でも、夢で会ったんだ」 ムムは、息を切らしながら答えました。明け方の空はまだ肌寒く吐く息が白く染まります。 「夢? んなのアテになるかよ」