ですが、人々の目には映りません。 絵本に必死で手を伸ばし、浮浪者は言いました。 「ゴメンな、ゴメンな…」 何度も繰り返して絵本に向かって謝りました。 「ロベルトさん!」 ムムはガバッと起き上がりました。 まだ辺りは暗く、日は出ていません。 けれど、ムムは気に止めずベッドから降りてローブを被りあの絵本を抱えて、外へ飛び出しました。 ベッドで横になっていたジャックはピョンとムムの左肩に飛び乗りました。