ようやく立ち上がって便所に行き、出てくると弱った体でスーツを着だした。裸のままだ。

「そんな体でバイクに乗るのか!泊まっていけよ。・・・もう何もしないから」
 あいつは俺を憎しみの目で見た。涙の跡が頬に付いていた。
「・・・こんなとこにもう居たくない。お前の顔なんか反吐が出る!」
 俺は止める術はなかった。あいつは夜半に逃げるようにバイクに乗り、俺の前から走り去った。


 俺は自分が許せなかった。どんな顔をしてキャンパスに行って、あいつに会うのだ!もう、あいつも俺のいるところには出て来ないだろう。
 ベッドにはあいつの残した破れたビキニパンツがあった。女の下着のようなナイロン製だろう。弾力のある生地は破れておらず、縫い目からだ。
 俺はあいつの匂いを吸った。あのめくるめく官能の時間。俺はおのれの『オス』を極限までさらけだした。あいつは犯されながら安い下宿の壁を気にして叫びを堪え、枕に自分の口を押しつけた。
 あいつは決して女の様な体ではない。だが、男の骨っぽい体でもない。ギリシャ彫像の両性具有者の様な柔らかい体だった。体毛は薄く、臑毛も目立たない。弾力のあるきめの細かい肌。
 運動をやっているあいつの尻は一見、女性のように大きく見える。しかも柔らかかった。

 あいつは俺の餌食になるために生まれたのだろうか。