駅まで走って電車に乗り込み目的地の駅で降りる。

煌びやかなネオン街へと変わっていく街は、夜の蝶の女達とスーツに身を包んで歩く男達の中、あたしは辺りを見渡した。


ホストの事についてなんて詳しくないし全然分かんない。

何処が一番高級の店なんてのも知らない。

だけど葵は確かに言った…


一番の高級クラブだと。


「あ、あのっ、」


あたしは通り縋りの30代くらいの小奇麗な女の人の背中に向かってそう声を掛けた。

女の人は首を傾げながら“何?”って感じであたしを見つめる。


「あっ、ちょっと聞きたいんですけど」

「何?」

「一番、高級なホストクラブって何処ですか?」


当たり前の様に女の人は目を丸くしてあたしを見てきた。

あなたが行くのって感じなんだろう…。

でも、そんな事はどうでもいい。あたしはとりあえず聞きたいんだ。