「向こうで浮気すんなよ」

「するわけないじゃん。だって、ほら…」


そう言ってあたしは右手の甲を翔に出し笑みを漏らす。


「だな…」

「ありがとう」

「あぁ」

「ってか翔の浮気防止ないよ?」

「そんなのいらねぇ…だって俺、浮気しねぇもん」


そう言ってあたしの額をコツンと突く翔に微笑む。


「5年後…もっといい女になって帰ってくるから」

「ああ、楽しみにしてる。たまには連絡しろよ」

「うん。じゃあ…」


握手を交わした手がスッと離れてく。


「またな」


その声にあたしはコクンと頷き足を進めた。


一度きりの人生。

もう後悔しない。


削ってきた人生。

後悔してきたあたしの人生。

それを変えてくれたのは翔だから。


翔と出会った運命。

支えられた皆からの温もり。


かけがえのない人達の存在を大切にしたい。

右手に光る指輪をみて、あたしは首元で光るネックレスを掴んだ。



また5年後…

笑顔で会いたい。



【完】