それを簡単にあたしに投げつけて…、って言うか、何でこんな金を軽々しく財布に入れてんのか分かんない。
返すって言っても、翔の連絡先すら知らなくて…
知ってるのは、ただ23歳って事とトビ職って事くらい。
ってか、何でまたここに居るのかも分からない。
あらゆる思考が支配する中、あたしは深く息を吐き出し手に握り締めている札束を鞄の中に無造作に突っ込んだ。
ホテル街を抜け人が溢れ出してくる夜の街を出て、すぐにあたしは駅に向かった。
電車に乗り込み揺られながら最寄り駅までの風景を眺める。
最寄り駅に着き普段より足を進めて家まで帰り、急いで自分の部屋へと駆け込んだ。
部屋に入り鞄の中に突っ込んだ札束を全部取り出しあたしは一枚一枚数えた。
「……30万、」
あたしの手元にはきっちりと30万円があった。
ありえない…