諒ちゃんのママには数回だけ会った事がある。高1の頃、諒ちゃんと仲良くなってから数回だけ諒ちゃんちに行った事があったから。

どっちかって言うと諒ちゃんのママはザバザバしてて、ほんわかとした感じではない。だけど、優しく気を使ってくれる事とかは凄く好きだった印象がある。


だから諒ちゃんが言ってたっけ?お前見てっとお袋と居る感じで何かしっくりこねぇって。どうやら諒ちゃんのママとあたしは雰囲気が似てるらしい。


今になっては笑える話だけど…


朝方に行って諒ちゃんのママが居るって事は分かってた。諒ちゃんのママは夜の飲み屋で働いている事を知っていたから敢えてあたしは朝に来た。

まだ寝ていないだろうと言う確信を得て…


諒ちゃんちに来るとあたしは迷わずチャイムを鳴らす。暫く経って出てきたのは諒ちゃんママで、一瞬驚いた表情を見せた。


「…お久しぶりです」


2年前と全く変わってない諒ちゃんママにあたしは軽くお辞儀をする。


「あぁ、ビックリした。…えっと、美咲ちゃんだっけ?」

「あ、はい」

「久し振りだね。全然来ないからどうしてんだろって思ってたよ。元気だった?」

「はい、お陰さまで」

「突然来て何かあった?…浮かない顔して」

「あ…」

「ま、いいわ。入って」


そう言って諒ちゃんのママはドアを広く開け、その開けられた隙間にあたしは身を入れる。

椅子に座って暫くすると諒ちゃんママは温かいミルクティを注いでくれた。目の前に置かれているコップを見つめながらあたしは深く息を吐き捨てた。