どれくらい経ったのかなんて全く分かんなかった。

ただ外に出ると、もう空一面が明かりに包まれかけている頃だった。


11月半ばの風は少し冷たくて肌を震わせるくらい。

とりあえず帰って一人になりたかった。一人になって頭を冷やす時間が欲しいと思った。


家に着いた頃には、もうすっかり夜が明けて明かりが差し込んでいた。

迷う事なく自分の部屋に行きベッドに倒れ込む。…と、同時に自然に涙が頬を伝っていた。さっきまで一滴すら流れなかった涙が今になってあたしの頬を伝う。


漏れてくる声を押し殺して、あたしは目に腕を置いて涙を流した。


どうしてあたしの空間に入ってくる人は間違った道へと進んで行くんだろうと思った。ママだって身体壊すし、葵にだって怖い思いをさせたし、諒ちゃんは傷つけるし、翔だって迷惑ばかり掛けて…

あたしが居るから…みんな…


一頻(ひとしき)り泣いたあたしは起き上がって深呼吸をする。未だに心拍が不安定なままあたしは携帯電話を手に取った。

あれからどうなって何処に居て何をしてんのかも分からない翔にコールをする。だけど何回掛けても翔は出る事はなく、あたしは暫くの間、画面を見つめてた。


「何してんだろ…」


とりあえず一旦シャワーを浴びて服に着替えた。もちろん学校になんて行く気になんてなれずあたしは諒ちゃんちへと向かった。