いつも通り22時までバイトをしたあたしは学校の制服に着替える。
何気なく鞄の中から携帯を取り出し、そこに表れたのは不在マークだった。
そのマークにゆっくり親指を当て軽く押すと、そこに映し出された大量の不在番号に思わず息をのみ込んだ。
表示されているのはジュンの名前。
掛ってくる事なんて前々から分かってた。けど実際自分の目で確認すると息が詰まりそうな感覚に襲われる。
教えるんじゃなかった。
そう思いながら携帯を鞄の中に無雑作に突っ込みやるせない気持ちで店を出た。
…出たんだけど、あたしの足は完全に止まり足を動かす事自体忘れていた。…と言うよりも動かす事が出来なかった。
目の前に経ち尽くし口角を上げたまま微笑んでいる男を捕らえた瞬間、自分でも顔色がだんだん変わっていくのが分かった。
…ジュン。
ジュンは口角を上げたまま、あたしに近づきまた髪に触れる。
何回されても、その感触がいいようには思わない。
「無視すんなよ」
そう言って不愉快な笑みを漏らし、あたしの髪に指を絡めていく。
