「番号教えろよ」

「は?何で?」

「何でって教えてほしいからに決まってんだろ?ってか、あれ?怒ってんの?この前ヤった仲なのに」


そう言ってジュンはクスクスと笑いだし隣のユウキもタバコに火を点けながら釣られたように笑い始めた。


空気が重い。


この辺り一面の空気が一瞬にしてドロドロとした様に重く息がまるで出来ない感じになる。

思わず眉間に新たなシワが寄り、あたしはピリピリと痛み出す眉間に軽く手を添えた。


「なぁ、教えろよ」

「…しつこい!!」


一瞬に出てきた言葉は吐き捨てるように口から滑り落ち、そのままあたしは背を向けて足を進めた。


「じゃあ!!」


進めてすぐに返ってきたジュンの声は真っ暗闇に響き、辺りに反響させる。


「じゃあ、ここでヤらせるか番号教えるかどっちか」


相変わらず嫌な男。

何かの条件を出す事しか出来ない嫌な男。


笑いながら言ってくるジュンの声にあたしの足はピタッと止まり眉を寄せたまま振り返った。