慌てて階段を掛け降りて行くと、「痛ってぇな、」と舌打ちとともに吐き捨てられ、あたしの左肩に痛みが走った。


「ごめん!!」


そう叫んで階段を掛け降りると、


「…んだよ、美咲かよ」


背後から呆れた声が聞こえ、あたしは立ち止まって振り返った。

振り返ってあたしより上に立つ人物を見上げると眉間にシワを寄せた諒ちゃんがいた。


「ごめん、」


もう一度言って掛け降りてくあたしに、「おい、美咲」と頭上から諒ちゃんの声が落ちてくる。


だけどあたしは諒ちゃんの声を無視して階段を掛け降りる。

今、諒ちゃんに構ってる暇なんてない。


一刻も…、一刻も早くママの所に行かないといけない。


あたしは学校を飛び出し駅まで向かった。

駅前の路上には何台かのタクシーが列になって停まっていて、その一番前のタクシーにあたしは乗り込んだ。


「総合病院まで!!」


乗ってすぐ、あたしはそう叫んだ。