佐々木さんと言うのはママの会社の専務で…

こう言うふうに電話があると言う事は――…



「ママに何かあったんですか!?」


震える身体と荒らただしくなる声に、隣に居た葵は少し驚いた表情であたしを見た。


「突然、血を吐かれて倒れまして、今病院に運ばれました。いつもの病院にいますので――…」


その後の佐々木さんの話など何も耳には入っていなかった。

あたしは何も言わずに携帯を切り、自分の席まで突っ走って、無造作に鞄の中に携帯を突っ込み、鞄を抱えて教室を飛び出した。


「美咲!!」


背後から叫ぶような葵の声を耳にし、慌てて一旦立ち止まり後ろを振り向く。


「ごめん!!」


それだけ言い残して、あたしは止めてた足を再び動かせた。


ママが倒れた――…


血を吐いたって何?
初めて聞く言葉に全身が震えだす。


何度か倒れたとは聞いた事があった。でも、血を吐くなんて初めて聞いた。


嫌な汗が背中を伝ってく。未だに震えてくる手だって止まらない。