土曜、日曜とバイトに明け暮れ月曜日の今日、翔に会えると思っただけで胸が高鳴ってた。
抱き締められた事もキスの意味も分かんないけど、あたしは翔に触れるだけで良かった。
だけど、そんな事を思ってたのも数時間だけだった。
昼休みの終わりのチャイムが校舎に響き渡り、教室へ入ったと同時にスカートのポケットに入れていた携帯が突然震えた。
携帯を取り出し、何気なく画面を見ると、知らない番号が表示され、あたしはその番号をジッと見つめた。
「…誰？」
隣に居た葵は首を傾げながら聞いてくる。
あたしは首を少し傾げ、未だに震えている携帯の通話ボタンを押し、耳に押しあてた。
「…はい」
「あっ、新山美咲さんですか？」
突然、通話口から漏れてきたのは男の人の声で、何故かその人の声は焦っていた。
「えっ…、あ、はい。そうですけど…」
「突然すみません。佐々木です」
そう言われて、あたしの身体に寒気が走った。
