夕日が沈みかけた頃、あたしは一旦家に帰り必要な物をスクール鞄の中に突っ込んで家を出た。

相変わらず凄い高級住宅が並ぶ中、あたしは葵の家まで足を進める。


白い壁面に囲まれた門の前に立ちインターホンを押した。

何だか異様に心拍数が速くなる。


あの日からあたしは一度も葵と話していない。葵はあたしの事をどー思ってんだろう。


反応がない為、もう一度インターホンを押したらすぐに「はい」と葵の声が聞こえた。


「…葵?あたし、美咲だけど、」

「…美咲?」

「うん」


その後、葵からの返事はなく暫く立ち尽くしていると玄関から葵が出て来た。

葵の顔を見た途端、胸騒ぎがしたけれど葵はあたしに向かって優しく微笑んできた。


その葵の顔を見て少しホッとしたあたしは同じように葵に微笑んだ。