翔に目を向けていると翔はチラっとあたしを見てうっすら微笑む。


「俺は確かにホストだけど、トビって言ったのも本当。嘘じゃねぇよ」

「えっ?」


ここに来て、あたしが初めて出した声だった。

だけど、その声は小さすぎて翔の耳には聞こえていないかもだ。


「俺、高校行ってねぇんだ」

「……」

「…って言うか中卒ってやつ。俺が産まれてすぐ両親は離婚したみたいで親父の顔すらしんねぇ」

「……」

「母親一つで俺を育ててさ、お袋は毎日朝から夜まで働いてた。けど俺、中学の頃から荒れだしてどうしょうもねぇ奴だった。お袋が必死で稼いだ金をせびるばっかで…」


そこまで言って翔は表情を崩し、俯いたままポロっと言葉を吐き出した。


「そんなお袋が高1の夏に死んだ…」


一瞬、波の音も耳に入らなく、あたしは言葉を失った…

ずっと翔の顔を見続けていたあたしの視線は思わず翔から外し砂浜に目を向けた。


そんな翔は深く息を吐き出し言葉を続けた。