2人の沈黙の中、ただ波の音だけが耳に届く。

心地いい風も、潮の匂いも、あたしの心を落ち着けてくれる気がする。


「俺…、すげぇ海好きなんだよな」


翔が言ってきたのは暫く経ってからだった。

あたしはその言葉に口を開くことなく、ただ目の前の海を眺めてた。


「とくに夜の海が好き。なんつーか、誰も人居ないし波の音聞いてっと落ち着くから…」


翔は軽く息を吐き、両手をポケットに突っ込んで、ただ真っ直ぐ目の前に広がる海をジッと見つめて言葉を続けた。


「俺…、男だから何つっていいのか分かんねぇけど、みぃちゃんの友達が言ってた事は間違ってねぇと思う」

「……」

「だけど、みぃちゃんの言った事も間違ってねぇと思う。まぁ、結局何が言いてぇのって感じだけど…。それに俺、みぃちゃんに嘘はついてねぇよ?」


はっきし言って、翔が何を言いたいのかは分からなかった。だけど、翔が最後に言ってきた言葉に思わずあたしは翔に目を向けた。