それでも、久遠さんが点ててくれた抹茶は本当に絶品だった。
茶の葉のブレンドから自分でしているんだってー。

言っている意味はよく分からないけど。
いぐさの香りのする部屋で、ゆっくりとお茶を飲んでいると、本当に心が静かに落ち着いていくから不思議。
背筋も、心持ち真っ直ぐ伸びている気がするし。

「それで、今日の収穫は?」

人心地ついたのを見計らうかのように、久遠さんが聞いてくる。

「それが、何か色々ややこしくって」

私が言いよどむ。

「ややこしいって?」

奏さんが、にこやかな笑顔と鋭い視線というアンバランスなものを、絶妙な按配で私に向けてくる。