「いつもの病院でしょ?」

「ああ、いつもの保険会社の担当さんも苦笑しながら帰っていったところだ」

いつもの病院に、いつもの保険会社の担当さんって……。
どういうこと?

そんなに毎回交通事故にあってる人が、居るってことかしら?

「そろそろ止めてくれっていわれそう。
 でも、達筆くんはいつも被害者だから、別にいいわよね」

「しかし、彼もついにち……」

男性の言葉を最後まで聞かずに、巫女さんが振り向く。

そうして、立ち上がっていた智さんと私に、にこやかな笑顔を向けた。

「達筆くん……夫が事故にあったみたいなの。
 私、ちょっとお祓いに行かなきゃいけないので、失礼させてもらうわ」

……は?
お見舞いでなくて、お祓いですって?

神社らしいといえばそうだけど、突拍子も無い発言に、私は二の句をつけないでいた。