女子高生夏希のイケメン観察記

だから、これはほとんど意見と言うより、本心からの叫び。

「でも。
 入院中だから、母を連れ出せないのっ」

私の声が空気を震わせる。

「だから。
 智さんと相談するから。
 ……病院に、伊達さんが来れるように」

「待とう」

伊達さんは静かにそう言った。
それから、再び唇を開く。

「それで女。
 納得したか?
 お前ごときに、余を調伏することはできまい」

磨き上げた刃物に似た、危険な瞳を伊達さんは容赦なく巫女さんに向ける。
その光がわからないわけではないのに、巫女さんはそれでも尚、優雅な微笑を絶やさない。

「そのようですわね。
 問題ごとが解決するのを待つしかなさそうですわ。
 とはいえ、腕に覚えはありますから、いつでもお声をかけてくださいね」

涼やかな声音でそう告げた。