女子高生夏希のイケメン観察記

「敵とも味方とも分からぬものに、それは言えぬな」

もっとも、簡単な話術にはまるようなやわな伊達さんではない。
刺す様な鋭さはないものの、きっぱりとそう言い切った。

巫女さんはふうわりと微笑んでいる。

「味方に決まっているわ。
 そのくらい、名乗らずともお分かりでしょう?」

ふん、と、伊達さんは鼻を鳴らす。

「当世のもののことは、分かりづらいわ」

「そんなことはないでしょう?
 あなた、この子にとりつくなんてかなり良いセンスしているわ。
 今どき、この若さで刀に精通している人なんてそうそういないわよ。その上、鍛え上げた肉体まで持ち合わせているなんて。
 レア中のレアよ」

「褒めておだてても何も変わらんぞ」

「別に結構よ。
 でも、あなたの目的を教えてもらわないことには。
 無期限に人にとりつく気なら、除霊しなければならないの。
 分かるでしょう?」

巫女さんは、ストレートな交渉を始めた。

伊達さんは、僅かに視線を伏せる。