女子高生夏希のイケメン観察記

「そういえば、こちらの可愛い子はトウくんの彼女?
 彼女さんって呼んでもいい?」

「えっと、私の名前は……」

名乗って挨拶をしようとすると、巫女さんがすぐに唇を開く。

「あ、名前はいいの。
 私のことは巫女さんって呼んで。
 トウくんのことも、本名は教えてくれなくっていいわ」

巫女さんは笑顔のまま、口早にそう言った。
……変なルール。

「あの、トウって、何の略語なんですか?」

「刀匠の、<刀>」

教えてくれたのは、智さんだった。
そうして、巫女さんを見る。

「そして、彼女はシロちゃんです」

……そ、それは猫の名前では……。

「あら、可愛いじゃない。
 それってあの、子猫のシロちゃん?」

巫女さんがふわりと笑うと、花が咲いたような明るさが漂う。


っていうか、子猫のシロちゃんって有名なんですね。