女子高生夏希のイケメン観察記

「で、智さん。
 私たち、どこに向かっているんですか?」

車が狭いのぼり道に入るので、私は首を捻る。

「ああ、行きつけの神社。
 気になることが、あってね」

行きつけのコンビニ、じゃあるまいし。
行きつけの神社っていう言い回しが可笑しくて、私は思わずくすりと笑ってしまう。

智さんが、片手を伸ばしてくしゃりと私の頭を撫でた。

「夏希ちゃんはそうやって笑っていたほうが、ずっと可愛い」

「……ありがとうございます」

心臓が高鳴った私は、小さな声でお礼を言うのが精一杯。

智さんはエンジンを止めた。
私たちは、神社の境内へと向かった。

白い小袖に緋袴が良く似合う、とても美しい女性が歩みを止めて私たちを見ていた。

艶やかな黒髪に、黒目がちの大きな瞳。
雪のような白い肌。顔のパーツ全てが、小さく整った輪郭の中に、綺麗に収められていた。

これ以上無いほどの、和服美人。


そう。
まるで、智さんとぴったりお揃いなほど、和装の似合う美男美女。

「あら、久しぶりね」

その声さえも、うっとりするほど綺麗なものだった。