女子高生夏希のイケメン観察記

「華道、家元?」

そういえば、ものすごく素敵な花が活けてあるものね。
あの家のいたるところに。

「そう。
 真壁流。一時期結構有名になったんだけどね、知らない?」

「ちょっと、覚えがないです」

「そっか。
 ほら、ああいう世界って、ちょっと傍から見てお金の動きが不明瞭じゃない?それを、分かりやすいシステムに変えようとしたのが、奏のお父さんでね。
 それは、一般の人にはわかりやすく受け入れられたんだけど。
 業界の猛反発を食らって、廃業ぎりぎりまで追い詰められたんだよね」

気の毒に、と。
智さんが友達を思いやる気遣いを口調に滲ませながらそう言った。

「奏さんは、立て直そうと?」

「ああ。
 金の工面だけなら、いくらでも久遠が貸すって言ってるんだけどさ。
 それはプライドが許さないみたいで。
 色々、難しいんだよ、あれでも」

智さんは苦笑した。

「久遠さんは、お金持なんですね」

「見ての通り。
 ピラミッドの頂点に君臨している。
 自分を売り込む術にも長けてるしねー、アイツの場合。
 何より、身の丈の十倍くらいの自信を持ってるからね」

確かに。