女子高生夏希のイケメン観察記

「ほら」

悔しがっている私の心境には気づかないかのように、智さんの手が真っ直ぐに伸びてくる。

「何があるのか分かんないけど、俺でよかったら付き合うよ」

極上の声が耳を擽る。
整った顔は、優しさに染まっている。

映画だったら、告白シーンにぴったりのカット。



……はぁ。
私はそれに心をときめかせながらも、冷静にため息をつくほかなくなっていた。


その、『付き合う』っていうのは、アレですよね?
聞くまでもなく、男女がいちゃいちゃしあうこととは無縁の言葉なんですよね?

でも、まぁ、仕方ないか。
私は差し出された無骨な手を、ぎゅっと握った。

「お願いします」



……ふぅ。
台詞だけつなげると、間違いなくこれ、恋のスタート、のはずなんだけどなぁ。