《アキ》
「豊橋、あとで職員室来い」
帰りのHRで担任にそういわれた。
呼び出し?
優等生だった私はもちろん“良い意味”での呼び出しだと思っていた。
掃除がおわってからすぐに職員室に行く。
職員室は進路相談をする生徒でごった返していた。
「先生」
机に向かって何かを書いている担任に声を掛ける。担任は私に気付くとペンを置いてこっちに体を向けた。
そして私を軽く睨むとこういった。
「あんた3年生の自覚ある?」
厳しい先生の目が私の目を鋭く睨み付ける。
あります。と自信なさげに言うと先生はため息をついて少しの間黙った。
「なんで推薦に逃げるの?」
この前の面談とは違う事を言った。この前はとにかくどこかに入るように言われた。
…なるほどお母さんがいたからか。
逃げるなんて言い方してほしくなかったけど、確かに私は受験から逃げていた。
「今の志望大には指定校があるからだろ?でも他に志望大があるんだろ?」
今度は私を諭すような目で聞いてきた。
はっきり行って志望大なんてなかった。指定校推薦しか考えていなかったから。
私の志望している大学は決して頭の悪い学校ではなかった。うちの指定校の中では一番偏差値の高い大学だったし。
何がいけないのだろうか。
黙っていると先生がまた口を開いた。
「お前だったらもっと上目指せるのに」
そんな事。
いまさら何をしろと言うのだろう。
先生の言葉は続いた。
「お前より評定が下の奴がいるんだけど、そいつだって4.6で頑張ってきたんだよ。譲ってやらないか?」
学校側が少しでもいい大学にたくさん入れたいと考えているのは分かった。無理矢理生徒の志望校を変えてでも。
先生の説得を真面目に聴くようなふりをして私は少し離れたところにいる同じ学年の生徒を見ていた。その子も私と同じように黙って目の前にいる先生の話を聴いていた。
「豊橋、あとで職員室来い」
帰りのHRで担任にそういわれた。
呼び出し?
優等生だった私はもちろん“良い意味”での呼び出しだと思っていた。
掃除がおわってからすぐに職員室に行く。
職員室は進路相談をする生徒でごった返していた。
「先生」
机に向かって何かを書いている担任に声を掛ける。担任は私に気付くとペンを置いてこっちに体を向けた。
そして私を軽く睨むとこういった。
「あんた3年生の自覚ある?」
厳しい先生の目が私の目を鋭く睨み付ける。
あります。と自信なさげに言うと先生はため息をついて少しの間黙った。
「なんで推薦に逃げるの?」
この前の面談とは違う事を言った。この前はとにかくどこかに入るように言われた。
…なるほどお母さんがいたからか。
逃げるなんて言い方してほしくなかったけど、確かに私は受験から逃げていた。
「今の志望大には指定校があるからだろ?でも他に志望大があるんだろ?」
今度は私を諭すような目で聞いてきた。
はっきり行って志望大なんてなかった。指定校推薦しか考えていなかったから。
私の志望している大学は決して頭の悪い学校ではなかった。うちの指定校の中では一番偏差値の高い大学だったし。
何がいけないのだろうか。
黙っていると先生がまた口を開いた。
「お前だったらもっと上目指せるのに」
そんな事。
いまさら何をしろと言うのだろう。
先生の言葉は続いた。
「お前より評定が下の奴がいるんだけど、そいつだって4.6で頑張ってきたんだよ。譲ってやらないか?」
学校側が少しでもいい大学にたくさん入れたいと考えているのは分かった。無理矢理生徒の志望校を変えてでも。
先生の説得を真面目に聴くようなふりをして私は少し離れたところにいる同じ学年の生徒を見ていた。その子も私と同じように黙って目の前にいる先生の話を聴いていた。
