大切な時間

その日からは礼美とメールや学校で話す日が続いた。

生徒会で忙しくて遊ぶことはできなかったが、相談に乗ったり乗られたりしてだいぶ仲良くなった。

ある日生徒会室で一人で仕事をしていると礼美が入ってきた。
礼美は文化祭の仕事を手伝うと言ってくれた。


「太一好きな人できた?」
礼美が作業をしながら聞いてくる。
一瞬アキの顔が頭に浮かんだ。けどアキとは2週間くらい連絡をとっていない。すぐに俺は頭を振った。

「そっか…」
礼美はまた作業を黙ってしはじめた。

礼美っていい子だな。俺はふとそう思った。

見つめていると礼美が顔を上げて目があった。
恥ずかしくてお互いうつむく。そんな何気ない瞬間が幸せだった。

俺、礼美が好きなのかな。

しばらく仕事を続けているとまた礼美が口を開いた。


「私…太一が好き。」

なんとなくわかってたけど、嬉しかった。
正直前の彼女と別れてから寂しかった。でも誰でもよかったわけじゃない。礼美は一緒にいて楽しかったから。

俺は
「俺も好きだよ」
と答えた。

礼美はすごくかわいい顔をして笑った。


学校から帰り、バス停を降りたとき、俺はすぐに家に向かわずに晃太の家に向かった。

ドアを開けたのは晃太の姉ちゃんの絵梨佳だった。