「いってぇ…」 動き出そうとした体は、重い悲鳴を打ち鳴らした。 「あ…、桐原くん。…まだ、動かない方がいいよ。」 小さな体、今にも折れてしまいそうな腕で倒れそうになった俺を再びベッドへゆっくり戻した。 「まだ、寝てたほうが良い。大丈夫…あたしが、そばにいるから。」 「おまえ…なんで。そこまで、俺を…」 「おまえって、あたしにだって名前あるんだから。桜井玲華、あたしの名前。」 ゆっくり体から力が抜けて行くのを感じた。眠気はなかったが、寝てしまったのは名を聞く前だったと思う。