きっとあたしは分かっていた。
湊にトキメク事がたくさんあったから…
けど心のどこかで負けたくない、
認めたくないと思っていたんだ。
だからあたしは……
今日までその気持ちに気ずかないふりをしていた。
隣では湊が写真を撮ったり、音声を録音したりしている。
男達の話は結構進んでる。
「いいか、選挙で花風瑠流を投票するんだ。
もし瑠流に入れなかったら……分かってるな?」
「は、は……はいぃ!!」
原因は…
これだ。
いくらなんでも酷すぎる。
脅してまでプリンセスになったって意味がないのに…。
いてもたってもいられなくなって、あたしが怒鳴り込もうとした時――。
「梨緒ダメだ。
我慢しろ…
ここで出ていったら全てが水の泡になる」
湊は悔しそうに唇を噛んでいた。
「…うん、ごめん」
やがて男達は公園からいなくなった。
安心すると今まで募っていたものが溢れ出した。
「ナイト…あたし不安だよ。すごく」
自分でも何を言ってるのか分からない。
ただ勝手に口が動いていく。
「初めてだな……
梨緒が俺をナイトって呼ぶの」
少しはにかんだ様に笑った湊。
「俺にとってプリンセスとナイトってのは…
何よりも大切な関係だ。
信頼できる何か強いもので結ばれていると思うんだ…
梨緒は知ってるか?
プリンセスとナイトの伝説を……」