「落ち着いてから、きちんと話そうぜ?」



背中を向けた湊。



ちゃんと目を見て言ってほしかった。


こんな時だからこそ…
安心できる言葉が、欲しかった――…




一人になった途端淋しさが込み上げてくる、


まだ決まったわけじゃない。



瞳から流れた雫が、右手の薬指に嵌まった
キラキラ光る指輪に落ちた。






こんな風になるんなら、
指輪なんていらなかった。



残るモノ何ていらなかった。






――…湊は、寂しくないのかな?





そんな想いを抱えたまま、あたしは寝てしまっていた。