「ッチ、邪魔が入ったか…」




あたしは緒方くんがあんな事を言っていたなんて欠片も知らなかった。





「湊、手痛いよ!
離して?」



「俺、どうしてもアイツがいい奴には見えねぇ…」



「……」



「梨緒がどっか行っちまいそうなんだ…」






「あたしはどこにも行かないよ?

だってあたし、一生湊から離れないつもりだもん!」




フワッと何かに包まれた。


温かくて

優しい

それでいて、力強い

湊の腕。




「今の言葉、忘れんなよ?」




「忘れるわけないよ」






あたしが好きなのは湊だから。




ずっとずっと…




湊だけだから――…。