お母さんが死んだのはあたしが中2の時だった―…



原因は交通事故。

お母さんは酔っ払いの車に跳ねられて、

救急車が来る頃にはもう息を引き取っていたらしい。


『まだお子さんもいらっしゃるのにねぇ』

『大変ですわね』



家族がいなくなる寂しさは……

とてつもなく大きかった。


でも泣いてばかりじゃいけないって。


お父さんは仕事で忙しいから、洗濯も食事も全部あたしが出来るようにした。



高校はなるべく近くがいいと思って、

途中まで近所にある高校へ通っていた。


けどお父さんは言ったんだ…


『梨緒、話があるんだが…ここへ行ってみないか?』

お父さんから手渡された"杉原マリア学園"と書かれたパンフレット。


『ここは寮もあるし、梨緒も家にいるより楽だろ?』


あたしはお父さんに突き放されたような気がした。


お前なんか必要ないって、言われたような気がしたんだ……。


『分かった…行くよ』