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「……ん?…あれ?」
あたし、いつの間にか寝ちゃってた?
外は夕日も沈んで、すっかり暗くなっていた。
…先生、いない。
寝てたはずの先生はいなくて、あたしの背中には先生のスーツの上着がかけられていた。
先生の上着はほんのりタバコの香りがした。
先生…上着かけてくれたんだ。
嬉しくなってギュッと上着を抱き締めていたら。
「やっと起きたか、小林」
と、プリントをたくさん持った先生が扉を開けて入ってきた。
「は、はい。…先生、起こしてくれればよかったのに」
寝てた時間、もったいない…。
「すげぇ気持ちよさそうに寝てたから起こしづらくて。…お前、スーツにシワつける気か」
「え!?」
やば!
あたしずっと握りしめてた!
「あ、上着!ありがとうございました」
赤くなる顔を見られたくなくて、下を向きながら上着を返した。
「あぁ。あ、これプリント。お前が寝てる間に今回のテスト範囲の要点とかまとめといたから」
そう言って、持ってきたプリントをあたしに差し出した。
