―――数日後。


和人様のご自宅に須崎優花さんがみえられました。

私が出迎え、応接室に須崎さんをお通ししました。

和人様は、須崎さんの姿を見た瞬間に、感じたものがあったのでしょうか。

社長としての顔ではなく、『篠宮和人』というひとりの男性としての顔になっておられました。

「いろいろ苦労なさったんだね。」

優花さんの生いたちや、ここまで来たことの経緯。
和人様はしっかりと耳を傾けておいででした。

優花さんも、最初は緊張しておられた様子でしたが、和人様の応対に安心なさったのか、柔らかな微笑みを浮かべておいででした。

「優花さんは幸せかい?」

「はい。須崎の養父母には感謝してます。」

「そうか。」

和人様は納得されたように頷きました。