〜♪〜♪〜♪〜


唇と唇が重なる寸前に


電話の着信を知らせる音楽が静かな部屋中に響きわたった。





「…ご、ごめん。あたしだ。」


あたしは、慌てて信から離れると机の上にあった携帯を開いた。


「待って。」


「えっ…。」


いつの間にかあたしの背後にいた信は優しく後ろからあたしを抱き締めた。




「し、ん?」


開いた携帯の画面に写し出された“さくちゃん”の文字をじっと見つめる信は


「それ、今じゃなきゃダメ?」


耳元でそう甘く囁いた。






きゅ〜んっ


うぅ…


今の最高っす。




「でも…急用とかだったら?」


何故か小声になるあたしとまだ鳴り止まない携帯を交互に見ながら信は今にも泣きそうな震えた声で


「嫌な予感がするんだ。」

と小さく呟いた。